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仙台高等裁判所 昭和25年(う)319号 判決 1950年6月29日

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

判決要旨

刑訴法第二〇四条が反証の取調請求その他の方法により証拠の証明力を争うことができる旨を告げなければならない旨を規定しているのは同法第三〇八条の規定を受けて当事者に対し、相手方当事者の提出した証拠の証明力を争う機会を与えることを目的とするものであるから、右の告知をすると共に其の意思があるなら相手方当事者の提出した証拠の証明力を争うため反証の取調の請求その他の方法をとるに必要な若干の時間的余裕を与えれば足りる。それ以上にその当事者に対しそのような訴訟行為をする意思があるかどうかを確めるとか、それについてのその当事者の応答を待つとかということは必ずしも必要ではない。

理由

刑訴法第二〇四条が検察官及び被告人又は弁護人に対し、反証の取調の請求その他の方法により証拠の証明力を争うことが出来る旨を告げなければならない旨を規定しているのは刑訴法第三〇八条の規定を受けて、当事者に対し相手方当事者の提出した証拠の証明力を争う機会を与えることを目的とするものである。故に当事者に対し右のような告知をすると共に当事者にして、その意思があるならば相手方当事者の提出した証拠の証明力を争うため反証の取調の請求その他の方法をとるに必要な若干の時間的余裕を与えれば足るものであつてそれ以上に、その当事者に対し、そのような訴訟行為をする意思があるかどうかを確めるとかそれについてのその当事者の応答を待つとかということは(そうすることが手続として親切で適切であるということは別として)必ずしも必要ではないと解するのを相当とする。

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